​世界最大のカルデラを有する阿蘇。大規模な火山活動により外輪山が形成されました。当時の噴煙は北海道にまで届く大規模なものだったとされています。

1万3千年前の後期旧石器時代の石器が見つかるなど歴史的な価値と、地域に根付いた多様な農作物は世界農業遺産に登録されています。

草原は、牛馬の放牧だけが目的ではなく、草が牛馬の飼料や厩舎の敷物となり、牛馬の糞が堆肥として田畑で利用されるというように、阿蘇の農業を営んでいくため必要なシステムとして、人々は草地を活用しています。草原は自然に任せておくと、やがてほぼ全域が森林におおわれてしまいます。草原のままを保てるのは、あか牛の放牧、刈草、野焼き等が行われているからです。

阿蘇地域は、標高400~800メートルの高原地帯で、面積は約1079平方キロメートルあります。中央部には国有数の活火山である中岳を含む阿蘇五岳がそびえたち、その周囲には外輪山がめぐり、世界最大級のカルデラを形作っています。カルデラの大きさは、東西約18キロメートル、南北約25キロメートル、面積は約380平方キロメートルで、世界でも最大級の大きさです。カルデラの誕生は今から約27万年前です。大噴火が発生し、約9万年前までに繰り返された火山活動によって現在のような形になりました。

国立公園とは、日本を代表する優れた自然の風景地を保護するために開発等の人為を制限した場所です。全国で31箇所が指定されており、国土面積の約5.6%を占めます。阿蘇地域は、国立公園が誕生した昭和9年(1934)に指定を受けました。世界最大級のカルデラや阿蘇五岳と草原が作る雄大な景色が特徴で、ヒゴタイやサクラソウ等貴重な植物が数多く見られます。

ジオパークとは、地球と人間のかかわりを学べる自然のテーマパークです。阿蘇ジオパークは、平成21年(2009)に日本ジオパークに認定されました。そして、平成26年9月23日(2014)、国内7例目となる世界ジオパークに認定されました。阿蘇地域は、中央に活火山がそびえるカルデラの中に約5万人が生活しており、国の重要無形文化財「阿蘇の農耕祭事」や約2万ヘクタールの草原や野焼き等の独自の農耕文化があり、まさに「自然と人間の共存」が体感できる場所です。これらの科学的に貴重な地質や地形、生態系や文化に加えて、環境の整備や地元ガイドのスキルアップ等の取組みが評価されました。

世界農業遺産とは、国際連合食糧農業機関(FAQ)が、次世代に受継ぐべき伝統的な農業の「システム」を認定し、その保全と持続的な利用を図るものです。阿蘇地域は、平成25年(2013)に世界農業遺産に認定されました。あか牛の放牧や野焼き等多様な農業生産活動が行われており、それにより世界に類を見ない美しい草原が保持されています。広大な草原に希少な草原性動植物が生息していることや、阿蘇地域に伝統的な農耕文化が残されていること等が国際的に高く評価されました。認定によって、農業振興や観光振興への活用とともに地域活性化が期待されます。また、野焼き等への関心が高まり草原の維持再生が図られることも期待されます。

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